IPOの初値買いは難しい?初値の決まる要因を考えてみた
こんにちは、ととぼるだーです!
先日書いたブログで、IPOの初値から3日間の株価推移を見てみましたが、初値買いをした場合、しっかりとしたリスク管理ができないと儲けるのは中々難しいのではと感じました。
そこで、今回はIPOの初値って何の影響を受けやすいんだろうということを少し考えてみたいと思います。
個人の経験則的な意見も入ってるので、予めご了承ください。
IPOの公開価格ってどうやって決まる?
まずは公開価格の決まり方ですが、細かい点を少し省いて簡単に説明するとこんな流れ。
- 上場する会社を主幹事証券会社中心となって審査をする。
- 証券取引所が上場申請に対して審査をし、承認されれば証券取引所が上場を公表する。
- 上場が承認されると、「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」などの資料を一般投資家(私達のこと)が閲覧できるようになる。資料に想定価格や証券会社の引受価額なども書かれています。
- 主幹事証券会社が機関投資家に対して、発行条件などのヒアリングを行い、仮条件(「2000〜2200円」など幅を持った価格)を決定する。
- 仮条件をもとに投資家に向けて需要申告(ブックビルディング)が行われる。
- 需要申告で一番多かった価格で公開価格が決定される。
このような流れですが、公開価格は仮条件の一番高い価格で決まることが多いと思います。
また、想定価格と仮条件の価格との関係で、人気があるかどうかということも何となく判断できます。
例えば、仮条件の上限が想定価格になっていると人気があまりないなと判断できたり、仮条件の下限が想定価格よりも高いとこの銘柄はかなり人気でそうだと判断できたりなど。
ちなみに仮条件ですが、本来の実力通りの評価となっていれば、IPOに申し込む人にとって利益の出せる幅が小さくなるため、相場の状況によっては仮条件はその会社の評価から導き出された価格よりは多少ディスカウントした価格になることもあるようです。
初値に与える要因は?
上記のように公開価格が決まるのですが、この価格が初値になることはかなり少なめで、多くの場合この値を超えてくるのが現状でしょうか。
それでは、どんな要因が初値に影響を与えるのでしょうか。思いつく範囲で書いていきたいと思います。
主幹事
主幹事にどの証券会社になるかは、個人的にはそこまで影響はないと思ってますが、この証券会社が主幹事になっていると初値が上がりやすいとか、初値後は売られやすいとかの傾向はあるという意見もあります。
公募株数と売出株数
公開価格との兼ね合いもありますが、募集する株数(公募+売出株数)が多いと需給の関係から上がりにくいことが多く、逆に少ないと上がりやすい傾向にあると思います。
また、公募株数に比べて売出株数が多い時、あまり投資家にとって印象は良くなく、上がりにくい傾向があります。
公募株の場合は、新たに株を発行して将来的な成長に投資するための資金を得るための目的のため株価の上げの要因になりますが、売出株の場合はベンチャーキャピタルや既存株主の持っている株を売り出すことで、その売られた分のお金は会社の成長のために使われるわけではないからです。
また、時価総額の大きいものだと公募株数と売出株数の合計が多く、こういった場合も上がりにくい傾向にあると思います。
ロックアップ
ロックアップとは、その設定された期間や条件を満たすまでは、売ることができないうことです。もちろん既存の株主に適用される内容です。
よく見かけるのが、「ロックアップなし」、「90日間」、「90日間、または1.5倍」、「180日間」、「180日間、または1.5倍」のいずれかでしょうか。
「90日間」や「180日間」のロックアップがかかっている場合は、その期間中は既存株主から市場で株を売られることがないので、その分売りが減り株価が上がりやすい状況になります。
「90日間、または1.5倍」、「180日間、または1.5倍」の2つに関しては、株価が1.5倍になった時点で、日数の縛りがなくなり既存株主が株を売ることが可能になります。
つまり株価が1.5倍になったあたりで、市場参加者が既存株主の売出しを警戒して買いが減り、株価が上がりにくくなる可能性があります。
つまり「ロックアップなし」や「90日間、または1.5倍」・「180日間、または1.5倍」のロックアップ解除条件がついている銘柄は、「90日間」や「180日間」のロックアップ解除条件がついているものよりも初値の上がり方が限定的になる可能性が高い銘柄となります。
事業内容と成長性
事業内容と成長性に関しては、当たり前の事ですが、かなり初値に影響を与えると思います。
今だと事業内容に「AI」や「クラウド」などの言葉が入っているだけで株価を押し上げる要因になっている気がします。
逆に言えば、このような言葉が事業内容に入っていた場合は、実力以上に評価されていることもあるので、冷静に事業内容を判断し、成長性のあるものか、また市場規模は大きいかなど見極めないと、初値以後の買いにおいて高値でつかまされる可能性が高くなります。
株主構成
会社の取締役や持株会などの保有が多い場合は、安定株主が多いという印象のため初値は下がりにくい傾向があります。
逆にベンチャーキャピタルなどの投資会社の保有が多い場合、いつそれらが市場で売り出されるかという懸念がつきまとうので、初値が上がりにくい傾向があります。
上場する市場
基本的には、東証1部、東証2部、JASDAQ、マザーズが多くの企業が上場する市場になると思います。
この中でも、マザーズとJASDAQに上場する企業が、将来性も期待されることもあり、初値が上がりやすい傾向にあります。
東証1部、東証2部に関しては、大きくな上げは望みにくい傾向にあると思います。
配当性向
配当に関しては、東証1部、東証2部に上場する銘柄に最初からついていることがおおいですが、初値の上げへの影響は少ないと思います。
むしろ利回りが良い場合は、下げにくい傾向にはあると思います。
IPOの間隔
意外と初値に与える影響は大きく、前のIPOと期間があいていると、上がりやすい傾向にあると思います。
これは、IPO投資の特徴であるボラリティの高い相場の好きな投資家が、気分新たに参加してくるなどの理由があるからではないでしょうか。
また初値とは少し話が違いますが、IPOの少ない期間(1月、5月、8月、11月)に入ると直近に上場したIPO銘柄に注目が集まり、株価が上がりやすい状況になることが多いです。
相場の雰囲気
相場の雰囲気は、かなり初値に与える影響は大きいと思います。
例えば、リーマンショック後は相場の雰囲気の悪さが色濃く現れた状況で、IPOでの株価も非常に上がりにくい状況だったと思います。
昨年末にしても、アメリカと中国間での貿易問題などで相場環境が少し重くなった時も初値は抑えられる傾向が出ていたと思います。
もちろん逆に相場環境がイケイケムードの時は、「そこまで上がるか!?」ってぐらい上がることもあります。
IPO情報サイト
人気IPOサイトの情報は、初値の上げ下げに意外と大きな影響力を持っていると思います。
自分なりに業績や業務内容などで判断できれば、サイトでどんなことが書かれていてもあまり影響はないはずですが、サイトで「S級銘柄!」とか評価されると、初値後も勝負になるのではという観測からやたらと買いが入り、初値の高騰要因になっていると思います。
また、逆の場合もあり、堅実な成長にも関わらず業務内容が地味という理由などで、サイトでの評価が低くなり、意外に初値が安くなることもあります。こちらは、もちろんセカンダリー投資にとってウハウハな狙い目となります。年に数銘柄はこういった状況になるので、個人的にはこういったサイトの情報にも注目しています。
まとめ
もしIPOの抽選申込みに資金に限りがある場合は、以下の項目に着目して、それを満たしている銘柄を優先的に主幹事証券会社から抽選申込みをしていくのはどうでしょうか?
- マザーズ・JASDAQ上場
- 時価総額が少ない
- 売出株数がない、または公募株数に比べてかなり少ない
- 株主にベンチャーキャピタルなどの投資会社が入っていない
- ロックアップが「180日間」か「90日間」ついていて、「1.5倍」条件はなし
初値に関しては、私も図々しいもので、IPOに当たっていればどこまでも上がってほしいと願い、当たっていなければ注目してる銘柄に関しては低く始まってほしいなんて思ってしまいます(汗)
個人的にはセカンダリー投資を狙っているので、良い銘柄で初値の低いものならば積極的に狙っていきたい気持ちはありますが、昨今のIPO人気もあり中々そういった状況には巡り会えません。
しかし、今年あたりは景気後退に入っていくのではと個人的に考えているので、今年または来年あたりはセカンダリー投資にとって面白い環境になるのではと期待しています。